老いた王

2008年7月、實家に住み着いてゐた猫が死んだ。享年18とか19とかそのくらゐだったと思ふ。

彼は若かりし頃、地域一帯を統べる王であった。有體に言へばボス猫だった。年を經るにつれて生傷が絶えぬやうになり、遂には退位したやうだったが、その威嚴だけは最期まで失ふ事が無かった。目つきの鋭さと云ひ立ち居振舞ひと云ひ、極めて立派であった。

老衰により聴力を失ひ、晝も夜も寢てばかりゐるやうになり、別れが近いと誰もが思ってゐた頃だったが、ある日突然足腰が立たなくなり、數日の内に行ってしまった。

王よ然らば。亦會ふ日まで。