風景画と作曲家の夢

山の風景画、山中の道

(夢はここから始まったわけではないが、これより前の部分は憶えていない。)

私はキャンバスに描かれた印象派的な山の風景画を見ている。その絵はホログラムか何かの仕組みで、見る視点を変えるとそれに合わせて風景の見え方も変わるようになっている。描かれた風景は秋の夕暮れ、陽が落ちた後の紅葉した山々であった。私はその絵をとても気に入った。

氣が付くと私はその絵の中に入り込んでいた。視界にはキャンバス地の模様が写っており、色の見え方も絵画そのものなのだが、明らかに私はその風景に描かれた山中の道を歩いていた。遠くの線路上を電車が走り、私と同じように散歩する男女も居た。

(場面変わる)

広場

山中の道を歩いていると広場に出た。広場のベンチの上に、分厚いバインダーが一つ置かれている。中を見るとそれは楽譜であり、私はその楽譜を書いた人物が私のとても好きな作曲家である事を知っていた(現実には知らない)。しかし、そのバインダーに収められた楽譜の数々は、どれも私の知らない曲であった。各曲の冒頭には作者によるコメントが付けられており、それらの楽譜は Web に公開したものを印刷したのである事が窺い知れたが、印刷されたどのページにも URL やサイト名らしきものが載せられておらず、私はとても寂しく思った。大好きな作曲家が知らない所で曲を公開していて、私にはそこに辿り付くすべが無いのだった。

(場面変わる)

劇場

広場からどれだけ離れた場所かは判らないが、これもまた山中に劇場のようなものがある。劇場の前で私は二人の髪の色の薄い少女に会う。いや、実際にはその二人は同一人物なのだが、どういうわけか一人の少女が二人になって現れていて、夢の中の私は特に疑問に思っていない。その少女はまさに私の好きな作曲家であり、問題のバインダーの中の楽曲を作った人物であった。いつの間にか私自身も自分の作った曲を印刷した紙束を持っていた。少女は「あなたも自分の曲を作って来てくれて嬉しく思う」みたいな事を言った。

私はその劇場で自分の曲を演奏する事になったらしい。敬愛する作曲家の前で自分の曲を演奏する事になり、私は大いに緊張している。夕暮れの山中だというのに客席には10人を超える観客が居た。しかし今思うと観客は必ずしも人間ではないようだった。山の獣か、神か妖怪か、そのような観客達であった。

(この頃から私は何度も目を覚まし、その度に再び眠って夢の続きを見ようとした。ひどく喉が乾いていた。)

私は舞台の袖に登ろうとしていた。袖に向かう階段の下には、まるでコンビニにあるような巨大なガラス張りの冷蔵庫があり、中にはビールや日本酒などが並んでいた。確かに舞台で喋れば喉が乾くのだ。なんて用意の良い劇場なのだろうと感心しながら私は階段を登り、袖にある何かの機材のボタンを探した。「袖に入ったらアクションボタンを押すように」と少女から指示されていたのだ。ボタンをなかなか見付けられないでいると、舞台の方から少女が現れて、代わりにボタンを押した。音響機材の電源か、照明か、そのような何かのスイッチであるらしかった。

(ここで再度目を覚ます。もう続きを見る事ができなかった)